◆その35~開運の先祖供養法―マイナス編

陰陽師-穂積天佑のコラム

 古くからの日本の習慣「先祖崇拝」「先祖供養」は、遠い先祖の生きざまを偲ぶことで現世に生きる私たちに様々な道標を与えてくれます。

以前、知人にこんな女性がいました。

 会うといつも「私の一族は源氏の血を引く大名で、とても立派な先祖代々のお墓に毎月お参りしている」と話すので、私も一度だけ彼女のお墓参りにお付き合いしました。

しかしその時、ある違和感を感じたのです。

 立派な墓石に刻まれた家名は、彼女の現在の名前とも、旧姓とも違う。よくよく問いただすと、彼女の生家の本家、そのまた血縁のない姻戚とのこと。しかも大名だったのはその本家の婚戚の遠い一族とのことで、つまり他人同然の家系を「我が一族」と言っていたわけです。

私は彼女に言いました。

「先祖供養で大切なのは、直接つながりのある御先祖、父母祖父母、遠くても十代の範囲内でのご供養から影響が与えられるのです。あなたのように間接的で遠い関係者の供養ばかりしていたら、本当の御先祖様方はどのように思われるでしょう。そればかりか、本来背負う必要のない余計な霊的因縁まで持ち込むことにもなりかねませんよ!!」と。

彼女はハッとした様子で、何も言わずにその場を去りました。

それから一カ月後、再び会った時に彼女は私にこう告げました。
「天佑先生。私ときどきお墓に眠るおじいちゃん、おばあちゃんに話しに行くんです。おじいちゃん、おばあちゃんは何も答えてくれないけれど、不思議とこれから何をしたら良いか諭されているような気がするんです」。

 そこにいたのは、どこか無理をしたうつ向き加減のこれまでの彼女ではなく、前向きで、明るく魅力あふれる女性でした。

うつしよにいくるひとはもかくりよのとほつみおやのかがみなるなり

(顕世に生くる人はも幽世の遠津御祖の鏡なるなり)

穂積天佑

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