◆その30~古道具に祟られた家
もう十数年も前のことになります。私のもとを、あるご家族が訪ねてこられました。お会いしてみるなり“不幸のドン底”に突き落とされたような、そんな雰囲気のご家族でした。
ご主人は五十代後半。強度のウツ症状で、自殺願望が起きることも度々とのこと。五十代半ばのご夫人は、原因不明の体調不良に悩まされる日々。そして二十代前半の娘さんは、何事もやる気が起きず、部屋にふさぎ込む日々……。そんなご家族の中で唯一、元気だったのは、八十代後半のお婆様。あっけらかんとして、隣はどこ吹く風、悩み事とは無関係の風情で、私と世間話をする余裕です。
私は、このご家族のご不幸の原因を突き止めるべく、私は彼らの運気を占い、霊視し、これまでの状況を聞いてみました。その中で、運気的に問題がないのはお婆様のみで、他の三人は運気の波動の乱れが顕著なうえ、ある種の霊的な存在の憑依が感じられました。
そして調べていく中で、その霊的な存在の正体は、いわゆる年代を経た古道具に憑依する「付喪神(つくももがみ)」らしいことがわかりました。
よくよく聞けば、そのお婆様が、親類縁者のご葬儀へ行かれる度に、故人の遺品を「形見分け」としていただいてこられるとのこと。その中には驚いたことに、故人が亡くなったときに着ていたパジャマや布団の類い、処分しようとした仏壇、仏具までありました。それは、古い世代の方の「もったいない」という考えからでありましたが、それが行き過ぎてしまったのです……。
それら古道具の数々が、家の二部屋を占領してしまい、日常生活用具も含めて家全体が「モノダラケ」の状態。その狭間で細々とご家族が生活していたのです。私はこの状態を改善するために、お婆様に納得していただき、形見の品は「本当に大切な思い出の品」以外はすべて処分していただくこととし、ことさらに霊的因縁の強く感じられる古い仏壇、仏具、故人が亡くなられる時に身に着けていた衣服等は、神前での遠隔大護摩と清酒による清めにより、供養処分していただきました。
それから三週間ほどの時を経過する中で、そのご家族やご家庭に様々な変化が見えてまいりました。まず、それまでモノに占拠されていた家の中がキレイに片付き「気の流れ」が良くなったこと。次に、ご主人の性格が明るくなり、仕事にも前向きになられていったこと。ご夫人の体調も少しずつ改善され、家事も楽しくこなされるようになり、部屋にふさぎ込んでいた娘さんもご自分でアルバイトを見つけ、友達との交流もされるようになられたのです。
そしてお婆様も、ご家族への一方通行の価値観の押し付けはされなくなり、心穏やかな老後を過ごされるようになられたのでした。
このように、日常生活の転換で、運気は良く変化し、幸せな家庭生活を送ることができるのです。
うつしよの まがれることを なほしてぞ
いきゆくひとは さきはへるなり
(顕世の 曲れる事を 直してぞ 生き行く人は 幸えるなり)
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