◆その61~ 悪い夢を見た時の対処法

陰陽師-穂積天佑のコラム

夜のまどろみ、目を閉じ深い休息の中で人が見る様々な映像=夢は、いにしえより運命に大きな影響を与えるとされてきました。悪い夢を良い夢に変えるという「夢違観音(ゆめたがえかんのん)」なる御仏(みほとけ)もいます。

悪い夢には不吉を連想させる夢、不気味な妖怪変化が登場する夢、将来を悲観させる夢など様々ありますが、古来、陰陽道の口伝では悪い夢を見たら「できるだけ早めに」「第三者に」「夢の内容を吐き出す」のが良いとされてきました。家族や親しい友人、恋人に、気楽に話してしまうのです。

人に話すのも憚られる世にも恐ろしき悪夢を見てしまった時は、悪夢を食べるという「獏(ばく)」を祀る神社や寺院にお参りすると良いです。獏は、鼻の長い象によく似た神の御使(おつか)いで、社寺の主祭神としてではなく社殿の彫刻の中にさり気なく配されています。有名どころでは日光東照宮がありますが、身近な社殿でも江戸期まで遡った彫刻には存外「獏はいる!」もので、私が宮司を務める子之神社にも獏様がいらっしゃいます。この獏様に、あなた様の悪夢を食べて頂くのです。

しかし、一見悪夢のようでいて実は深い意味を持つ夢もあります。私も経験がありますが、ことさら印象深い妖怪的なものが出てくる夢は「神からのお諭(さと)し」が含まれた「霊夢(れいむ)」の場合があります。霊夢に出てくる妖怪は神の御使い――御眷属(ごけんぞく)、となります。

もし判断に迷う夢を見た場合は、信頼できる霊能者や占い師に「夢解(ゆめと)き」をしてもらうと良いでしょう。そして、悪い夢を見た時は、あなた様の早い的確な対処が、その後の長い人生の開運へとつながるのです。

まどろみの あしきゆめにぞ なやむとき かみつかはせる ばくぞたすけり
(まどろみの 悪しき夢にぞ 悩む時 神遣わせる 獏ぞ助けり)

穂積天佑

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