◆その46~御守・神札の「すると良い」扱い方
陰陽師-穂積天佑のコラム
私の祖母は、穂積家に代々伝わる秘伝をもとに、古神道の祈祷師をしていました。
私がまだ二十代で神職として駆け出しの頃、祖母がこんなことを言いました。
「神様も、人と同じように休まれるものサネ。人と同じように休み、そして眠る。夜の10時を過ぎたら神様もお休みになられるから、お願い事やお祈りも控えるものサネ」
当時の私は修行に夢中になるあまり、真夜中でも神前で祝詞を唱えることがあったので、祖母のこの言葉が強烈に心に刻まれました。
御守の扱い方を尋ねたときは、「御守は、神様の御分身サネ。持つ人が夜、床につくときは、御守も小箱や引き出しに入れ休んでいただくものサネ。さすれば、翌日も元気にお働きになって、持つ人をしっかりと守ってくださるサネ」と答えてくれました。
では、夜働くお仕事の場合はどうするのでしょう。
実は祖母は、二十代から三十代にかけて赤坂のクラブでママをしていました。
若き日の祖母は、仕事が引けて休むとき、仕事道具のネックレス、指輪、ブローチと一緒に御守を宝石箱に納めて蓋を閉め、「今日も楽しい一日、商売繁盛させてくれてありがとう。明日もよろしくね!!」と一日の締めくくりに祈ったそうです。
クラブのママ、ファッションデザイナー、洋装店経営と七転八起の人生だった祖母は、60歳の時に医師から余命3カ月と宣告され一念発起。
女修験者として深山幽谷を巡ると不思議と病状が回復し、晩年は悩める人々を悟し導く祈祷師として85歳の天寿を全うしました。
神とともにあった祖母の一生、ではありました。
かむながら みちをきはめし おほははは あれにさとしを さづけゆきけり
(惟神 道を究めし 祖母は 吾に悟しを 授け往きけり)
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