WHERE THE DRAGON GODS ARE -りゅうじんたちのいるところ-#02

WHER THE DRAGON GODS ARE -りゅうじんたちのいるところ-#02
パワースポット体験

え?!土禁(土足禁止)ですか?外なのに?

前回のお話・・・
パワースポットとは何なのか。祈るとは。素朴な疑問に向き合うヒントを求めて、保健師・看護師であり、猟師でもある『星くらジビエ』の代表、岡村絵里さんと奈良県室生の龍神の住まう処を巡りながら、いのちとの向き合い方や祈りについて、じっくりお話を伺うという原点回帰企画のもと、まずは知る人ぞ知るパワースポット『龍鎮神社』でなぜ猟をしているのか、根本の思いを話していただきました。
現在へ至る経緯と死生観と、感謝という祈りいついて考えるきっかけをいただき、次なる目的地を目指します。(前回のお話はこちら。)

この記事を書いた人はこんな人
星くらジビエ代表:岡村絵里さん

旅の案内人
岡村絵里さん:東京都出身。奈良県在住。保健師・看護師。まるで運命に導かれるように猟師の師匠とのご縁が繋がり、狩猟から解体に至るまでの技術を習得。「頂いた命は余すところなく命のサイクルに還元する」事を大切に、骨の活用法を試行錯誤していた頃、ボーンブロスを推奨する医師と出会い、現在は解体からは撤退してボーンブロスと一般家庭向けの鹿肉販売に専念。

※ボーンブロスとは、骨付き肉を煮込んだ出汁(スープ)。腸内環境をサポートする食事として注目されている。

星くらジビエ公式ページへ

二つであって二つでないもの

「ここも有名な龍神スポットなんだよ。」と絵里さんに案内された次の目的地は室生龍穴神社。室生にはいくつも人気のパワースポットが点在していますが、その中でも歴史の古い水の神・龍神を祀る古社であり、室生寺よりも歴史が古いそうです。

而二不二神木

辺り一帯、美しい木々が豊かに茂るエリアではありますが、龍穴神社の隣の駐車場の前にひときわ目を引く巨木がお出迎えです。
存在感を放ってはいるけれど説明は無し。根本に小さな石碑『而二不二神木』と記されるのみです。
而二不二・・・なんて読むの?(学がないもので・・)
調べますと、こちら『ににふに』と読むそうで、意味は「二つにして、二つではない(一つのもの)」という仏教の言葉で、例えば、裏と表という2面があって1枚の紙だというように、分別による一方だけに執着することなく、また中間であることすら執着することなく柔軟に捉えて生きましょう~という尊い教えのようです。

而二不二神木

「空」を考察する尊い教えを冠する巨木は、ただ黙って、その姿で而二不二を問うてきます。が、実はこの辺り、ご神木クラスの巨木が豊かですので、お立ち寄りの際に見逃してしまわないように、龍穴神社の隣の駐車場前もぜひ見まわしてみてください。
本当に立派なご神木なんですけどね。馴染んでるとも言えるというか。。。

古社の貫禄『室生龍穴神社』

龍穴神社

而二不二のご神木のお隣、龍穴神社へ向かいます。
古社独特の静けさと重厚感。木々に囲まれた神域に漂う空気に心地よさと凛とした緊張感があります。何より、私たちが訪れた時は完全に貸し切り状態でした。
抜けるような青空に向かって伸びる杉の緑が美しい。シックな造りの拝殿に向かって手を合わせます。

龍穴神社|拝殿

お祀りされている神さまを見ると、祭神は龍鎮神社でもご紹介した高龗神となってます。が、拝殿を見上げると「善女竜王」の文字が。高龗神はイザナギの剣から滴る加具土命の血から生まれた水を司る龍神様。…善女竜王とは?

「ここは入口。本当に案内したい場所は奥の宮の龍穴だから」という絵里さん。ご挨拶もそこそこにあっさりと龍穴目指して龍穴神社を後にする姿、潔し。
長居は無用と言わんばかりの背を追いつつ、ここもかなりスゴイ空間なのになぁ、と笑ってしまう筆者でした。

龍穴神社

奈良~平安時代、朝廷からの勅使により雨乞いの神事を行ってきた古社。拝殿奥には深緑に艶やかな朱色が映える春日造りの本殿があり、左右には道主貴神社と手力男神社があります。境内の「連理の杉(夫婦杉)」は縁結び、夫婦・家庭円満のご利益があると信仰されています。奥の宮は「妙吉祥龍穴」。善女竜王の伝説や大国主の妻の須勢理姫の伝説が残る人気のパワースポットです。

御祭神 高龗神(たかおかみのかみ)
 住所 奈良県宇陀市室生1297
その他 最寄り駅:鉄大阪線 室生口大野駅よりバス「室生寺前」下車 徒歩15分
駐車場:なし 公式HP:なし

※宮司さんは常駐していませんので、御朱印を頂くには事前連絡をするか、近くの室生寺でいただきます。

善女竜王(ぜんにょりゅうおう)…って、どちらさま?

善女竜王は、八大龍王の一尊の娘で、大干ばつで民衆が苦しんでいる時に、空海が北インドから呼び共に力を発揮して大活躍をしてくださった龍神様。そのお姿は、女性だったり男性だったり、金色の蛇だったりと様々なようです。
高龗神も善女竜王も祈雨・止雨の御神徳を持つ水の神様である事から同一神とされているのか…それとも、龍穴神社の奥の宮とされる「吉祥龍穴」に残る善女竜王の伝説からくるものなのか…
いずれにせよ、どちらも水を司るパワフルな龍神様なのです。
御姿がフリースタイルの善女竜王について、この宇陀市に来た理由など、エピソードを集めてみると、筆者にはどうにも”女の子”に感じられてなりません。
それではさっそく、龍穴神社の奥の宮へ赴き、善女竜王の伝説に思いを馳せてみましょう。

結構、気にするタイプ?善女竜王のお宅訪問

吉祥龍穴

龍穴神社の奥の宮である吉祥龍穴は龍穴神社から徒歩30分。一本道の山道を進みます。細い山道ですが舗装されていますので、近くまで車で行くことも可能です。駐車場はありませんので路肩に止めることになります。また、途中に古事記で有名な天の岩戸もあります。こちらは後ほどご紹介します。

道沿いに建つ白い鳥居と看板が目印。そこから山肌に沿って下り拝殿に向かいます。道は整備されていて歩きやすいようになっていますが、やはり山。基本、引きこもり生活を満喫している筆者に足腰の重要性を教える勾配でした。
聖域を進むにつれ水の清らかな音が近づき、鳥の声や木々をぬう風を感じて清々しい気分になります。聖地とされる場所は、こうした心の静寂を整える為の仕掛け、例えば長い参道や長い階段などが設けられていることが多いなと感じます。神聖なものと向き合う為の昔の人の智慧なのかな、なんて考えていると、
「足腰って本当に大事だよねっっ(ゼェゼェ)」
息上がっとるやないかーいっ!
猟師・絵里さんも、引きこもりの筆者と同じく健康な肉体の有難さを実感をもって学んでいたようです。人間だもの。

龍穴の拝殿と招雨瀑

急勾配の階段をしばらく下り、龍穴の拝殿に到着。「土足禁止」です。外なのですが、キレイにされており、更にスリッパまで!「忘れ物お預かり」の張り紙に和んだところで、龍穴に御住いの善女竜王さまに静かにご挨拶をいたします。拝殿の右手には「招雨瀑」。岩肌を流れる水が白い龍のようにうねります。水量によってはドウドウと力強く流れ落ちる迫力の景観に。

ケガレや騒ぎは嫌いです。

空海とタッグを組んで干ばつから民を救った、など伝説を残す善女竜王がこの龍穴に住むに至った経緯は、もともと住んでいた猿沢池(奈良市興福寺付近)で女性が身投げをした事で、ケガレを嫌い引っ越しを決意。春日周辺を見て回ったけれど、どこもケガレがあったり、騒がしかったりして落ち着かず、山の中へ奥へと物件探しをしてここ宇陀市の龍穴を見つけ、清浄な渓谷を気に入り鎮座した、というパワフルだけどデリケートな一面が伝えられている龍神さまです。
「ほら、あの穴に龍神さまが住んでるよ~。どう?何か感じる?」案内人の絵里さんがキラキラと聞いてきます。えっと、えっと、、「清々しい・・ね。」
残念ながら筆者には龍が見えたり、ビリビリ感じたりする能力は有りませんが、確かに大自然の中にす~っと溶け込むような清々しさを感じられる場所でした。
先に申し上げましたが、清浄と静寂を好まれる龍神様です。ご参拝を検討されている皆さまにおかれましては、くれぐれも、「感じないんだよねぇ」とゲラゲラ騒がせず、清らかに静かに、ご機嫌を損ねることの無きように、ご参拝くださいネ。

しみ’S memo

伝説パッチワーク!室生

吉祥龍穴には龍神伝説以外にもうひとつ、その昔、大国主命の妻である須勢理毘売命が、吉祥龍穴に身を隠し、大岩で入口に蓋をし、隙間を赤土で塞いでかくまわれたという言い伝えが残っています。ということは、善女竜王が鎮座する前は、須勢理毘売命が鎮座していたということに。伝承では、身を隠した後、西南4キロ先の白岩神社に移られたとされています。
なぜ身を隠したのか詳細不明なのですが、龍穴神社の配祀に、須勢理毘売命の父である須佐之男命が居るのもこの一件に何か関係があるのでしょうか。奥の宮の娘の手前に父親が鎮座していた?いったい何かあったのか、聞いてみたいものです。
これについては、須佐之男命を牛頭天王とするならば、善女竜王を櫛稲田姫(須佐之男命の妻)という説もなくもない(異説有り)という。神話が縦横無尽に絡まってる伝説パッチワークなのでした。

龍穴の沢

せっかくですので、拝殿から渓谷を覗き込んでみます。けっこう深い(というか高い)。渓流は静かですが深い深い山の中へと流れており先が見えません。それだけ険しい山の中だと実感したところで、途中通り過ぎた天の岩戸へ行ってみようという事に。
古事記の伝説を五感で感じられるなんて!ステキ。
マイナスイオンか龍神パワーか、疲れもすっかり癒えたのでいざ!

振り返り下ってきた階段を見て・・・
「足腰って大事だよね。(白目)」
会話が単語になりながら来た道を戻る二人でした。

「あ、ここ鹿が通った。」
「職業病ーっ!」
素人にはわからない獣の通った気配を宝さがしのように見つけながら歩く道。陽がある内に、出なければ・・・。

いかがでしたか?今回ご紹介したパワースポットは、同じスポットに伝説がパッチワークしている室生龍穴神社と吉祥龍穴でした。
個人的には「汚れちゃったから嫌」といって激しく清めるのではなく、プイっと移住してしまう善女竜王が女の子っぽくて愛嬌を感じました。須勢理毘売命もまた、父の須佐之男命のようなパワフルな女神でありながら、大国主との離婚の危機の時に切ないと詩で引き留めたという物語があったりして、なかなか味のあるキャラクター。このスポットはパワフルで愛嬌のあるヒロインというテーマが共通点に思えました。これが女子力なのか?何なのかは、筆者にはわかりませんが、パワフルであることには間違いなしです。お近くにお立ち寄りの際はぜひ足を延ばしてみてはいかがでしょうか!

次回「女人高野でしなやかにスクワット(階段)」です。お楽しみに!

清水直子

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たまふり屋スタッフの一人。デザイン部所属。台風を伴う雨女。 / 好きなモノ・コト / 本(文学~なろう、漫画 なんでもOKな雑食)。ゲーム(特にTRPG、フ...

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