WHERE THE DRAGON GODS ARE -りゅうじんたちのいるところ-#03

パワースポット体験

女人高野でしなやかにスクワット(階段)

前回までのお話・・・
保健師・看護師であり、猟師でもある『星くらジビエ』の代表 岡村絵里さんのナビゲートで奈良県室生エリアでおススメの龍神スポットを巡りながら、”いのちとむきあうコト”や”祈り”について、じっくりお話を伺う・・・のですが、思いの外傾斜が急で、口より足腰がモノを言い始めたのでした。。。(前回のお話はこちら。)
さて、旅も大詰め。古くから女人高野と呼ばれる有名スポット『室生寺』へ向かいます。

この記事を書いた人はこんな人

星くらジビエ代表:岡村絵里さん

旅の案内人
岡村絵里さん:東京都出身。奈良県在住。保健師・看護師。まるで運命に導かれるように猟師の師匠とのご縁が繋がり、狩猟から解体に至るまでの技術を習得。「頂いた命は余すところなく命のサイクルに還元する」事を大切に、骨の活用法を試行錯誤していた頃、ボーンブロスを推奨する医師と出会い、現在は解体からは撤退してボーンブロスと一般家庭向けの鹿肉販売に専念。

※ボーンブロスとは、骨付き肉を煮込んだ出汁(スープ)。腸内環境をサポートする食事として注目されている。

星くらジビエ公式ページへ

室生寺RTA

「急いで急いで。」
基本、スポット間の移動は車だったにも関わらず、各スポットの傾斜にジワジワとやられてる二人でしたが、時間を気にして先を急ぐ絵里さん。
室生寺は歴史的にも重要なお寺で見どころがいっぱいであるのはもちろんなのですが、絵里さんのお目当ては室生寺の『奥の院』!
絵里さん自身、室生寺には来たことがあっても奥の院は時間が足りなくなり断念したそうで、奥の院のエリアにはまだ入ったコトが無いとの事。「今回こそは!」と思っていたのだとか。
それはイイ!女人高野として有名な寺の奥の院へ。初めて訪れた感想をぜひ伺いたいところです。

室生川にかかる朱色の太鼓橋に到着したのが14:45。タイムリミットまで75分。
魅惑の見どころをすっ飛ばしてでも未開の聖地に行くことを最優先としようと即決。かくして、およそ720段余りの石段の先に佇む頂点を目指すこととなったのでした。

本来は…すっ飛ばさないで!室生寺の見どころ

奈良時代、白鳳9年(680年)役小角(えんのおず)が建てて以来ミレニアム越えの歴史を有する室生寺は、女人禁制だった高野山に行けない女性たちを受け入れ「女人高野」と愛され信仰を集めてきたお寺。四季折々の美しい草花が境内を彩り、シックな造りの歴史的な建物群を鮮やかに飾っており、どの季節に訪れても参拝者を感動させてくれる画になるお寺です。
敷地に入れば「国宝」「重要文化財」の宝庫!立派な仁王門を潜り抜け鎧坂を上がってバーンと目に入る「金堂(国宝)」は、堂内に入って文殊菩薩・釈迦如来・薬師如来の三尊と十二神将(一部)とご対面できます。
筆者としてはやはり、躍動感あふれる十二神将は見応えがあるなぁと感じました。金堂では子神・丑神・午神・申神・戌神・亥神が、残りの六躯は寶物殿でご覧いただけます。お堂ではリアルな佇まいと空気感を、寶物殿ではよりクリアに造型美を見ることが出来てとてもおすすめです!
また、フォトスポットとしても抑えておきたい五重塔は室生山中最古の建造物。朱色が景色に映えて瑞々しい印象を与えます。塔の先のデザインにもご注目。水瓶を蓋するように風鐸を巡らせた傘が乗っている珍しいデザイン。この水瓶の中には高僧 修円によって封じ込められてた龍神様がいるという伝説があります。

女人高野 室生寺

女人高野として古くから有名な室生寺は、他に類を見ない貴重な建造物や仏像を拝観することができます。古くからこの一帯は水神をお祀りし、雨にまつわる儀式を行う神聖なエリアであり、如意山は空海が如意宝珠を埋めた聖域としても有名なことからパワースポットとしての魅力はもちろん、歴史的な希少性、類を見ない芸術性、四季の自然美と、信仰を全て感じることのできる山寺なのです。また、金堂の蛙股に薬壺が見られることから元は薬師堂であったことが垣間見れ、古くから薬草園として大切にされてきた室生の歴史を感じることができます。

本尊 如意輪観音(にょいりんかんのん)他
住所 宇陀市室生78
最寄り駅:鉄大阪線 室生口大野駅よりバス「室生寺前」下車 徒歩5分
駐車場:あり(有料)
拝観時間 9:00~16:00(寶物殿は15:30)
公式HPhttp://www.murouji.or.jp/ tel:0745-93-2003

行きますか、女人高野の心臓部へ。

屋外では日本最小の五重塔を抜け更に奥へと進むと、小さな朱色の橋が見えてきます。この無明橋の先が奥の院エリア。陽の傾きを見ながら370余段の階段に挑みます。
橋の先から明らかに勾配がキツくなり一帯も一段暗くなったように感じます。この辺りは暖地性シダ植物が自生する最北端として天然記念物指定されているという希少性もあるエリアです。しかし、それを知ったのは帰宅後の事。筆者は入口からその先の道中を見て「おぅ…(白目)」となっていました。
石段があるとはいえ、足場をよく確認しながら一段一段と登る二人。木々の力強さをビシビシと感じる筆者でしたが、宇陀に暮らす彼女にしてみれば普通~といったご感想でした。鎖場と比べれば全然整備された環境、それでも山岳信仰のエッセンスを感じられるプチハードな奥の院への道。中腹でベンチが用意されていますので、コケる前に休憩をとり「足腰って大事ねェ~」と、そのくだりもういいです、という会話を再び。

大きな杉に視界を遮られ、容赦なく心臓を締め付ける勾配の石段を半ば強制的に自分の呼吸音を聞きながら登っていくと現れる迫力ある建物の脚。見事に組み上げられた懸崖造の柱の向こうに小さく室生の里の景色が見え、折れかけた心のテンションが上がってきます。

石段を登りきると視界が開け、奥の院に到着~。なんとも言えない達成感を感じます。奥の院エリアには、石段から立派な脚を見上げていた常燈堂(位牌堂)、御影堂(最古の大師堂)と七重石塔、納経所があり、奥の院の御朱印はこちらでいただけます。

さぁ、どうでしょう~初踏破のご感想をどうぞ!

以前、参拝のご縁があった時、時間が足りずに奥まで来ることが出来なかったという絵里さん、ついにリベンジ叶い頂上へご到着。さあ!どうでしょう!ご感想をどうぞ!
くるりと見渡して「ふぅ~ん…」 リアクション薄ッ
橋から登ってきた時間は15~20分くらいかと思いますが、頭が清々しい状態になっているのは筆者も同じ(笑)。「スゴイネー。」以上。って感じでした。

いよいよ陽も傾いてきて、奥の院へ向かう前に「寶物殿」も(筆者の希望で)立ち寄ったため、本当に時間がギリギリ。御朱印を先に頂きます。もう閉まるところだった常燈堂の縁に少しだけ上がらせて頂き、早々に帰路へ。
ここでもまたすっ飛ばしてしまいましたが、こじんまりと佇む「御影堂」は高野山御影堂の形式を伝える唯一の建物だそうで、弘法大師四十二歳像が安置されています。毎月21日に弘法大師御影供法要で御開帳されます。また、その隣には「諸仏出現の岩」がありその上に石造りの七重の塔が建っています。
ぜひ、拝観時間に余裕をもってご覧いただきたいスポットです!(説得力薄い…)

下りも油断ならない帰り道。
「どっかでお茶したいよね~」
「あ~~~~コーヒー飲みたい!」
門前のお店を探すか、車を走らせてお店を探すか、そんな話をしながらヨロヨロと下山。迷いを断つ無明橋を渡った二人は迷わず車を走らせるのでした。(※本来の意味は「無明=無知」。無知が迷いを生む苦の根源のため無明を手放す真理を探究しなさいねってこと。)

しみ’S memo

山号「宀一山(べんいちさん)」は秘宝を暗示

山号となっている宀一山(べんいちさん)というのは、室のウ冠生の最終画をとったもので、宀が山を意味し、一は最も優れた大切なものを示している、すなわち、この地(室生)に如意宝珠が隠されていることを暗示しているのだと、室生寺公式ページに記されています。如意山といわれる聖域に空海が恵果阿闍梨より授かった如意宝珠を埋めたという伝承もあり、過去、一度だけ文部省の調査が入り、如意山頂の石造納経塔より琥珀玉や巻物、貨幣が発見されたそうです。(調査後に納経塔へ再び納められた)
納経塔は弘法大師の魂とされ、とても大切な聖域のため、一般人が見ることはできませんが、実際に在るということを知って訪れることで、歴史的価値のある建物や仏像の鑑賞だけでなくより一層深く楽しめるのではないでしょうか!

余力があったら立ち寄りたい!隠れパワースポット「天の岩戸」

龍穴神社から奥の院の吉祥龍穴へ向かう途中に、しめ縄をされた巨石がドーンと現れます。
「ぇぇええええーー?!岩戸って、アノ?!天照大御神が引き籠ったっていうアノ!!」
と興奮する私に、いたってクールに「全国にいくつもあるけどね~。」と絵里さん。
全国に…w ドイツ村みたいだ。

とはいえ、これもご縁ですから参拝させていただきましょう。
こちら、鳥居をくぐると、足元に小さく「室生龍穴神社境内」とあります。小さなお社もありましたがお祀りされているのがどなたなのか分かりませんでした。巨岩はとても立派です。
龍穴神社の本殿の左右に市杵島姫命(弁財天と同一視する説があり、芸能に秀でた神のため、天錮女命と同一視する説もある)と天手力男命(開いた岩戸をぶん投げて天照大御神の手を引き中から連れ出したとされる神)がお祀りされているという伏線がここで回収されるのですね。
…龍穴では須佐之男命の娘である須勢理姫が籠り、岩戸では天照大御神が(笑)。
ま、色々ありますよね~。とか、思ってみたり。
この巨岩の間を一礼してから通り抜けるとパワーをチャージできるとか。お時間に余裕がある方はぜひこちらもご参拝してみてはいかがでしょうか!(公式HP・駐車場なし)

車を走らせ道の駅へ。久々の再会を喜び、深い話を聞かせてもらって新鮮な気持ちも味わいつつも、筋肉の限界を迎えた二人は、ここでは記せない話題で解散までのひと時を楽しみました。貴重な時間を割いてくれた友人に心から感謝です。

奈良は面白い!奈良の魅力はとても奥深い。
自然が豊かで、その中に神も仏も国宝もいっぱい!とても一日では紹介しきれないボリュームです。神社仏閣だけでなく、名瀑や湖、美しい渓谷も楽しめる奈良。
「ぜったいまた来るから!」と友人に誓ったのが今年3月19日。(どんだけ原稿を寝かしてたのか)
私事、ご縁あって導かれるままに、気づけば千葉と大阪の二拠点生活となり、本当に奈良に遊びに行くようになるとは、この時は全く想像もつかなかったのでした。

人生は面白い。と、導かれるまま(流れのままに)今日も面白そうな場所を求めてアンテナを張るのでした。

絵里さんもまた、この時点ではカタチのなかった今を暮らしています。
絵里さんのセンスが輝るログハウスが建ち「狩猟体験と鹿肉販売のお店」をOPEN!
とてもくつろげる空間で”いのちをいただく”ことに触れられる場と機会を提供してくれます。来店の際には【要連絡】です。きまぐれ営業のため(笑)。
好奇心を刺激された方、ぜひフォローを!きっと思い出深い体験になると思います。
(筆者はここのボーンブロスが本当に好きです。感動しました~)

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清水直子

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たまふり屋スタッフの一人。デザイン部所属。台風を伴う雨女。 / 好きなモノ・コト / 本(文学~なろう、漫画 なんでもOKな雑食)。ゲーム(特にTRPG、フ...

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