◆その51~ 何もしないで愚痴をこぼす不運
今から20数年前、当時30歳ぐらいの女性が相談にみえました。その方の相談内容は「なぜ人生が思い通りに運ばないの? なぜ自分に合う仕事が見つからないの? なぜ心を分かち合う友人ができないの?」というもので、彼女自身の運気の状態から、少しずつ、一つずつ実行して解決へ向かう方法をアドバイスしました。
それから1カ月後、再び彼女が訪ねてきました。私は彼女なりの小さな成果が聞けるものと思っていましたが、前回とほぼ同じ内容を述べ、やや激した様子で「自分はなぜこのように不運なのでしょう!」とおっしゃるのです。私は十種神寶に基づく身体秘術をお教えし、少し落ち着いた彼女に「運勢改善には自己の努力とその継続が必要ですよ!」とひとこと申し上げ、お帰りいただきました。
その後、彼女のお母上がご相談にみえて、彼女のことが徐々にわかってまいりました。彼女はご両親が年を取ってから授かった子どもで、教育者の両親の教育的過ぎる環境と監視下で過保護に育てられたため、自分で人生の課題を決めて実行する場面がほぼなかったのです。その後、再び相談にみえた彼女に私はこう話しました。
「〇〇さん、自分でやってみたいことはないの? 言ってごらん」
「先生…実は私、料理作るのが好きなんです!」
「だったら、それをやってみたらいいじゃないか」
「できるでしょうか?」
「できるさ。好きこそ物の上手なれという諺もある。大丈夫。あとね、できれば親元から離れて仕事した方が良いと思うんだ」
「はあ…ちょっと不安なんですが…」
「大丈夫。〇〇さんならできるよ」
それから3カ月ほどして彼女から封書が届きました。
そこには、
「先生、お元気ですか。私はレストランに就職し、住み込みで毎日がんばって働いています。新天地で友達もできて日々新鮮です。ありがとうございました。感謝を込めて」
……と書いてありました。
ひとのよは ひとつのあゆみ かさねつつ さちみちびかる こととしるなれ
(人の世は 一つの歩み 重ねつつ 幸導かる 事と知るなれ)
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