◆その49~ 心沈みゆく不運

陰陽師-穂積天佑のコラム

私は大学を卒業後、中学校教師をしていましたが、生徒指導や校務すべてがうまくいかず、慢性不眠症、パニック障害なども出て、心は常にうち沈みマイナス思考まっしぐらでした。

ある時、休日を活用して関東の山岳霊場 箱根権現へ修行に参りました。
神職となる将来に備えた精神鍛錬を兼ねたもので、冬の早朝の雪掻きや勤行等、厳しいものも多々ありましたが、宮司様をはじめ神職の先輩諸氏との語らいなど楽しいこともありました。

そんな修行の日々の中で、私はYさんという神社事務員の方と出会いました。
Yさんはちょうど私の母親世代で、代々続く教派神道祀職の家系の方でしたが、色々と相談に乗って下さいました。

ある日、彼女は私にこんなことを話してくださいました。

「穂積くん、キミさあ、真面目だけど、心がいつも沈みがち。だから地の底にうごめく魑魅(ちみ)魍魎(もうりょう)たちに振り回されて運が悪くなっちゃうのネ! この箱根山の澄んだ大気(たいき)、爽やかでしょ! この山の大気みたいに心を気高く持ってネ! そうすればキミ、生まれ変われるわよ!」

心に染みるYさんの言の葉。これを深く胸に刻み実践してみると、次第に心も落ち着き、体調も良くなり、良い人間関係もでき、仕事もうまくいくようになり、様々な幸運にも恵まれるようになりました。

そんなことを回想すると、あの時のYさんの優しい笑顔が感謝の気持ちとともに瞼に浮かんでくるのです……。

うちしづむ なれがこころは ねのくにの すさぶみたまが とらふとぞしれ

(打ち沈む 汝が心は 根之国の 荒ぶ御霊が 捕らうとぞ知れ)

穂積天佑

19,662 views

先祖である穂積濃美麻呂が陰陽道の祖である役行者(えんのぎょうじゃ)より陰陽の秘法を授けられ、また同じく師の先祖となる菅原宮内少輔道景は、あの平安時代の大陰陽...

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA